本の隙間の路地にて

本記事は、Booknook Advent Calendar 2023の16日目の記事になります。

自己紹介

小渕リツ子(おぶちりつこ)と申します。絵を描いたり個人サイトを運営したり手帳を集めたりしています。最近のブームはこねないパン作りです。なんもやってない日に罪滅ぼしのようにパンを作っています。

Booknookにはvol.1からvol.3まで各回参加しております。私なりにBooknookをどう楽しんだかといったことについて書いていこうと思います。

締め切りが欲しかった

Booknook vol.1が開催される2年ほど前から、私はある本の制作をしていました。二次創作のイラスト本ですが、自分にとってそれはすごく大事な作業で、納得がいくかたちに仕上げたいという思いがとても強いものでした。

しかし、イベントなどの締め切りがないとページ数も決まらず、ゆえにゴールも決まらず、思いつくものを順々に描いていくばかりで終わらない日々がそこにはありました。すでに完結しており、さまざまなメディア展開も終了している作品だったので、いわば新しく燃え上がるような機会もない状態。ついつい現在の趣味に気がそれる……ということも多くありました。

このままでは完成しない。なんとかしないと、と思っていたあたりで、「webイベント」という文化が私の耳にも入ってきました。フォローしている方が参加することも多くなっていき、どうやら調べてみると参加者側のコストはオフラインイベントほどかからないということがわかってきました。こういうものに参加するという形で締め切りを決定し、制作していけばいいのではないかと思いつきました。

オンリーイベントが主流の中開催が予定されているオールジャンルイベントの中、ふと目に留まったのが「Booknook vol.1」でした。やや鈍い緑色にがさっとした線の本のイラスト。一見オリジナルオンリーかと思わせるような硬派さでしたが、概要には以下の文言が書かれていました。

・WEBイベントの参加が初めてで不安。
・取扱いジャンルが多く色々出品したい。
・ジャンルがマイナー。
・カップリングがマイナー。
・活動が活発じゃない。
・直近に自ジャンルのイベントが無い。
・WEB出店の流れを体験したい。
・雑多なジャンルのイベントが好き!
・蚤の市のような雰囲気が好き。
・原稿の進捗を公開したい。
・告知がしたい。
・応援してほしい。
・推しの布教をしたい。
・新しいジャンルを開拓したい。
・オフイベント参加が難しい。
・推しの誕生日をお祝いしてほしい。
・自分の誕生日をお祝いしてほしい。

等々……
WEBイベントが初めてという方でも
マイナージャンルでも、知り合いがいなくても
ふらりと立ち寄っても、どなたでも気兼ねなく
楽しめる機会を設けました。

Booknook vol.1 ピクトスクエア概要ページより

WEBイベントの参加が初めてで不安。直近に自ジャンルのイベントが無い。活動が活発じゃない……

私のことではないか!と思うほど需要にマッチしたイベントでした。締め切りもまあまあどうにかなりそうということで申し込み、本の制作に取り掛かることができました。

会場準備、アバター準備

ピクトスクエアでは自作のアバターを歩かせることができるので、せっかくだからということでアバターを準備しました。

スペースも制作している本の原作イメージに。

また、webイベントで自分のことをよく知ってもらえたら嬉しいと思い、自己紹介ページも作成しました。

これらはBooknookへの参加がなければやらなかっただろうなと思うことばかりです。

当日:スペースをチェックしてみて回る

Booknookはかなりスペース数の多いイベントとなり、全部回ることは目標にしつつ、事前のチェックがあるとより楽しいかもという規模でした。

運営さんからのテンプレートもあるからこちらも安心。Twitterのタグの整備もされており、ハッシュタグを見ながらサークルをチェックするのも楽しい時間でした。

サークルカットやスペースの雰囲気、お品書きを見て気になったところには入って作品を見ていました。Booknook vol.1の半年前に初めて参加したオフラインイベントでも思ったのですが、イベントというものは「こんなにたくさんの人が、それぞれ創作活動をしている」ということを感じられる素敵な機会だなあ、としみじみ思います。創作キャラクターの展示をしている方、自分がハマっているジャンルのおすすめシートを出している方など、初見であることを前提にお知らせをして下さるサークルさんは特に見ごたえがありました。

ピクトスクエアには「書き込みボード」というものもあり、書いてみたり、書かれてもらったりと、それも楽しい営みでした。

開催場所をとらのあなウェブオンリーに移したBooknook vol.3でも、こんな感じで反応を頂けました!うれしかった~

視覚的にいろいろなスペースを行ったり来たりできるピクトスクエアの形式も好きですが、とらのあなウェブオンリーの形も、サークルカットを一覧化できてすごく便利で楽しかったな~。

参加者と話す

こちら、ウェブイベントでは期待できないかな~と思っていたのですが、vol.1,vol.2のふたつで経験ができました!

私はコアタイムは割と自スペースでうろうろしていたのですが、話しかけてくださる方もいらっしゃったり、私が来てくださった方のプロフィールを拝見して「○○で活動してらっしゃるんですか⁉」と話しかけたりして、会話ができる機会もありました。個人サイトをやっている方ともお話しできて、とてもたのしかった~。

スペースに伺った時に話しかけてくださる方もいて、その方と縁あって今では月1ペースでオンライン飲み会をしたりなど、貴重な機会を頂けている……。

参加者特典を使う

Booknookvol.1-vol.2では、指定時間内にアンケートに答えるとお得に印刷が発注できるというプリペラさんとの協賛特典がありました。私が2023年5月から制作している個人雑誌「渦転」がでているのはこれのおかげです!!!

もともとプリペラさんは知らなかったのですが、温かい対応と見積もりシステムが非常に使いやすい印刷所で、いまでは大好きな印刷所です。表紙用紙テンカラーエンボス皮しぼとの出会いはこの印刷所でした……本当にかわいい……。

こちらの特典、期限が半年となっており、「原稿落とす……?でも特典使いたいし頑張ろう……!!!」という目標にもなりました。本当に助かっています。

vol.3ではBooknook出展の作品が一つでも入っていたらとらのあな通販割引という特典があり、今回もばっちり使わせていただきました。いや~……助かる……。

終わりに

Booknookのおかげで、本も出せたし、人と出会えたし、新しく本を作る同期を手に入れられたし、萌える本も購入できたりで、感謝でいっぱいでございます。

ピクトスクエアでの件もあり、当分充電期間とのことですが、これからも応援しておりますし、もし参加する際は、上記のように楽しみつくしますとも!今後もよろしくお願いいたします。

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新しい名前でBlueskyを始めよう

本記事はBluesky Advent Calendar 2023の9日目の記事になります。前半はSNS振り返りとBlueskyが楽しいという話、後半はBlueskyおすすめポイントの話です。

持ち物と服装を変えてSNSを楽しむという発見

2023年はTwitterタイッツーMisskeyくるっぷThreads、ありとあらゆるところにアカウントを作った。

新しいSNSを作るときに、何となく自分でルールを作っていた。一つは鍵アカウント的な運用をしないこと、もう一つは、名義を変えないことだった。

これは自分なりの義理というか、筋を通すような意味で設定していた。どこに出しても恥ずかしくない、もしくはどこに出しても恥ずかしい運用を心掛けようと思ったのだ。私はものすごくSNSを使うタイプだし、好きになった人の過去の投稿とかを全部漁ったこともあった。その時にわかったのは名義を変えていても大体「あ、このアカウントの別名義なんだ」というのはわかるということで、それじゃあ名義を分けてても意味ないか~と思って「小渕リツ子」を使い続けていた。

多分この名義になってからはほとんどどこでも同一名義を使っている。実況者ファンアートをやっていたころは「小渕ちょぶ」でやっていたが、まあ苗字は一緒だし、本当に「リツ子本店」と「ちょぶ支店」という感覚で、どちらも同一であるという認識が強かった。

SNSを使う場所はまあ、スマートフォンかパソコンで、SNSによって変えるということはない。鍵アカウントや話題別の運用をしない(というかできない)から、「このSNSではこういう自分」という認識もない。そこで名義も一緒だと、おんなじ人間がおんなじ場所でおんなじことをつぶやき続けて、発信するSNSだけが違う、という状態になる。

結論から言うと、このやり方は私には合わなかったようだった。

現実世界の話をしてみよう。現実世界では結局じぶんは同じ肉体を持ち、精神も変わることがない。しかし、場所が変わり、その場にいる目的も変わり、その目的によって着る服装も違う。そして周りにいる人間が場所によって異なるということが直接的に分かる。

しかし、SNSでは使うものはスマートフォンorパソコンで、みんなはアイコンと文字列だ。SNSそれぞれの特色はあれど、やはり現実世界の場所や人間ほどの情報の異なりはない。

アイコンと名義というものは、多分私にとって着ていく服と持ち物のようなものだったのだ。外部の情報があまり変わらない中、自分の姿まで一緒にしてしまうと、結果としては「これまでのSNSと同じような人を探し、フォローをして、同じようなふるまいをする」という使い方になった。それではこれまで本拠地としていたSNSを使っているのと何ら変わりがないので、結局大きな不便や不満がなければもともと使っていたところに戻っていく。そういう道をたどっていった。

縁あってBlueskyが利用できるようになったとき、試しに「小渕リツ子」と何らかかわりのない名前で使ってみることにした。十年間ほぼずっと自分の絵を使っていたアイコンも、お気に入りのぬいぐるみにした。初めてのツイートはぬいぐるみの自慢で、基本的に「絵を上げるアカウント」としてはふるまわず、「たまに絵も描く『人』のアカウント」という運用にした。

この運用は自分にすごく合ったようで、今では使う頻度のごく高いSNSになっている。流れてくる投稿に適当に言及し、みんなの投稿に気軽にハートボタンを押し、おいおい良いぜ……と思った投稿をリポストする。かなり気軽なSNSになった。

Blueskyの観測範囲のユーザー自体が、何かを極めた「何者か」という運用よりも「人」という運用を歓迎しているという雰囲気もあるが、私はその空気があったとしても、名義とアイコンを変えないでそういった運用ができたかどうか自信はない。ずっと誰かからのフォローを待っていたり、いいねも渋っていたりしたかもしれない。名義を変えるという私の方法と、Blueskyの雰囲気がうまくかみ合った結果、私は今、Blueskyがとても楽しい。

人間のやるSNS、Blueskyを始めよう

招待コードが余っているので、Blueskyのおすすめをしようと思う。以下は独断と偏見によるものである。

Blueskyが合っているかもしれないひと

  • 他者の投稿が見たい
  • 自分も投稿したい
  • 相手に反応したり反応をもらったりすることが苦じゃない

特に一つ目の「他者の投稿が見たい」という部分は個人的に重要に思う。「かっこいいTwitterアカウント」、いわゆるフォローゼロで作品を一杯上げていいねをいっぱいもらうみたいな運用を求める人には現時点ではそんなに向かない。観測範囲のユーザーは「一方通行のファン活動」よりも「道行く人同士の気軽な挨拶とねぎらい」を求めて利用している印象があるため、名作を一つポンと置いたとしても反応が他SNSほど見込めなかったという例を見る。自分も投稿するし他人の投稿もほどほどに興味がある、場が盛り上がったら知らない人同士でも話すがそれ以降相互になったりずっと一緒のマブダチになるかどうかは別の話、という雰囲気である。

フォローもいいけどフィードを使おう

見る専には向かないのか?と不安になるかもしれないが、ガチの見る専にはかなり優しい設計になっている。Blueskyには「フィード」という機能があり、ある特定のワードを拾った投稿を一覧表示するという機能がある。ミスキーで言う「アンテナ」の重くないバージョン、と少なくとも私はとらえている。

例えば私の作ったフィードには「文房具」「万年筆」「レターセット」というワードが指定されており、そのフィードを開けばBluesky日本語ユーザーのそれらのワードを使った投稿が時系列順に一覧表示されるというわけである。フィードは自分でも作れるがURL共有で他者の作ったフィードを自分が見るリストに登録することができ、Blueskyでは有志の方が共有されたフィードをまとめたページを作っている。

使い始めたらそのページを見て、いくらか登録して、気になるものをいいねして、いい感じだな~と思ったユーザーをフォローするという流れで私は使っている。

Blueskyには人がたくさんいる。自分が「何者か」である証明のための作品というよりも、考えていることを言葉にするということへの関心が強い人がたくさんいる。好きな作風の作家はいないかもしれない。「コンテンツ」としてのユーザーはいないかもしれない。でも、そこにはコンテンツのむこうがわの、素朴な存在である人間がたくさんいる。

インターネットのむこうがわの人間に挨拶をしよう。

そちらの空は青いですか?

追記

お知り合いに限り招待コードをお送りしますので、何かありましたらご連絡ください。

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