本記事はBluesky Advent Calendar 2023の9日目の記事になります。前半はSNS振り返りとBlueskyが楽しいという話、後半はBlueskyおすすめポイントの話です。
持ち物と服装を変えてSNSを楽しむという発見
2023年はTwitterタイッツーMisskeyくるっぷThreads、ありとあらゆるところにアカウントを作った。
新しいSNSを作るときに、何となく自分でルールを作っていた。一つは鍵アカウント的な運用をしないこと、もう一つは、名義を変えないことだった。
これは自分なりの義理というか、筋を通すような意味で設定していた。どこに出しても恥ずかしくない、もしくはどこに出しても恥ずかしい運用を心掛けようと思ったのだ。私はものすごくSNSを使うタイプだし、好きになった人の過去の投稿とかを全部漁ったこともあった。その時にわかったのは名義を変えていても大体「あ、このアカウントの別名義なんだ」というのはわかるということで、それじゃあ名義を分けてても意味ないか~と思って「小渕リツ子」を使い続けていた。
多分この名義になってからはほとんどどこでも同一名義を使っている。実況者ファンアートをやっていたころは「小渕ちょぶ」でやっていたが、まあ苗字は一緒だし、本当に「リツ子本店」と「ちょぶ支店」という感覚で、どちらも同一であるという認識が強かった。
SNSを使う場所はまあ、スマートフォンかパソコンで、SNSによって変えるということはない。鍵アカウントや話題別の運用をしない(というかできない)から、「このSNSではこういう自分」という認識もない。そこで名義も一緒だと、おんなじ人間がおんなじ場所でおんなじことをつぶやき続けて、発信するSNSだけが違う、という状態になる。
結論から言うと、このやり方は私には合わなかったようだった。
現実世界の話をしてみよう。現実世界では結局じぶんは同じ肉体を持ち、精神も変わることがない。しかし、場所が変わり、その場にいる目的も変わり、その目的によって着る服装も違う。そして周りにいる人間が場所によって異なるということが直接的に分かる。
しかし、SNSでは使うものはスマートフォンorパソコンで、みんなはアイコンと文字列だ。SNSそれぞれの特色はあれど、やはり現実世界の場所や人間ほどの情報の異なりはない。
アイコンと名義というものは、多分私にとって着ていく服と持ち物のようなものだったのだ。外部の情報があまり変わらない中、自分の姿まで一緒にしてしまうと、結果としては「これまでのSNSと同じような人を探し、フォローをして、同じようなふるまいをする」という使い方になった。それではこれまで本拠地としていたSNSを使っているのと何ら変わりがないので、結局大きな不便や不満がなければもともと使っていたところに戻っていく。そういう道をたどっていった。
縁あってBlueskyが利用できるようになったとき、試しに「小渕リツ子」と何らかかわりのない名前で使ってみることにした。十年間ほぼずっと自分の絵を使っていたアイコンも、お気に入りのぬいぐるみにした。初めてのツイートはぬいぐるみの自慢で、基本的に「絵を上げるアカウント」としてはふるまわず、「たまに絵も描く『人』のアカウント」という運用にした。
この運用は自分にすごく合ったようで、今では使う頻度のごく高いSNSになっている。流れてくる投稿に適当に言及し、みんなの投稿に気軽にハートボタンを押し、おいおい良いぜ……と思った投稿をリポストする。かなり気軽なSNSになった。
Blueskyの観測範囲のユーザー自体が、何かを極めた「何者か」という運用よりも「人」という運用を歓迎しているという雰囲気もあるが、私はその空気があったとしても、名義とアイコンを変えないでそういった運用ができたかどうか自信はない。ずっと誰かからのフォローを待っていたり、いいねも渋っていたりしたかもしれない。名義を変えるという私の方法と、Blueskyの雰囲気がうまくかみ合った結果、私は今、Blueskyがとても楽しい。
人間のやるSNS、Blueskyを始めよう
招待コードが余っているので、Blueskyのおすすめをしようと思う。以下は独断と偏見によるものである。
Blueskyが合っているかもしれないひと
- 他者の投稿が見たい
- 自分も投稿したい
- 相手に反応したり反応をもらったりすることが苦じゃない
特に一つ目の「他者の投稿が見たい」という部分は個人的に重要に思う。「かっこいいTwitterアカウント」、いわゆるフォローゼロで作品を一杯上げていいねをいっぱいもらうみたいな運用を求める人には現時点ではそんなに向かない。観測範囲のユーザーは「一方通行のファン活動」よりも「道行く人同士の気軽な挨拶とねぎらい」を求めて利用している印象があるため、名作を一つポンと置いたとしても反応が他SNSほど見込めなかったという例を見る。自分も投稿するし他人の投稿もほどほどに興味がある、場が盛り上がったら知らない人同士でも話すがそれ以降相互になったりずっと一緒のマブダチになるかどうかは別の話、という雰囲気である。
フォローもいいけどフィードを使おう
見る専には向かないのか?と不安になるかもしれないが、ガチの見る専にはかなり優しい設計になっている。Blueskyには「フィード」という機能があり、ある特定のワードを拾った投稿を一覧表示するという機能がある。ミスキーで言う「アンテナ」の重くないバージョン、と少なくとも私はとらえている。
例えば私の作ったフィードには「文房具」「万年筆」「レターセット」というワードが指定されており、そのフィードを開けばBluesky日本語ユーザーのそれらのワードを使った投稿が時系列順に一覧表示されるというわけである。フィードは自分でも作れるがURL共有で他者の作ったフィードを自分が見るリストに登録することができ、Blueskyでは有志の方が共有されたフィードをまとめたページを作っている。
使い始めたらそのページを見て、いくらか登録して、気になるものをいいねして、いい感じだな~と思ったユーザーをフォローするという流れで私は使っている。
Blueskyには人がたくさんいる。自分が「何者か」である証明のための作品というよりも、考えていることを言葉にするということへの関心が強い人がたくさんいる。好きな作風の作家はいないかもしれない。「コンテンツ」としてのユーザーはいないかもしれない。でも、そこにはコンテンツのむこうがわの、素朴な存在である人間がたくさんいる。
インターネットのむこうがわの人間に挨拶をしよう。
そちらの空は青いですか?
追記
お知り合いに限り招待コードをお送りしますので、何かありましたらご連絡ください。