月報2023年10月号:映画と文房具

10月が終わる~!ということで振り返りです。

ダイジェスト

観た映画

アリストテレスのまぼろし工場

「凪のあすから」から追いかけている岡田磨里の監督作品。かなり面白かった。現実を生きることに関する話が多いかも最近。そういうのが好きです。

ダンサーインParis

クラシックバレエとコンテンポラリーダンスのダンスシーンがあるんですがどっちもめっちゃよくて話もすき!バレエとかコンテンポラリーダンスとかしらないから公演を丸々みるのはあれだけどちょっと見てみたいとかの方にもマジでおススメです。2023年ベスト出たかもしれない。すごい良かった。

買ったノートをいい感じに使いたくて書いた感想

かぐや姫の物語

高畑勲映画コンプリートの一環で観た。めっちゃ自由でおもれ~。等身てそろってなくていいんだ。勇気出た。

最後お迎えのシーンで楽しい音が流れていて泣いた。

レッドタートル

絵がかっこよすぎるので観てよかった。でも話はあんまり好き、ではないかも。徒然なってた。レッドタートルというよりホワイトカニちゃんズだった。

ティグランハマシアンのライブに行った!

群馬公演と東京公演に行った!めっちゃよかった~!

生で聴けるの、楽しい!楽しい!本人を見られるのも楽しいけど、「ここにきてる人ティグランハマシアン好きなんだ~!」って感じられるのがよかった。

東京公演はゲーム「パラノマサイト」のロケ地近くだったので、錦糸堀公園・緑町公園・両国橋・旧安田庭園を回ってきた!錦糸堀公園の中央でぐるりとあたりを見渡すパラノマサイトオタクになった。

公演まで時間があったので黄金湯という銭湯に行ってみた。初サウナ!初水風呂!あまりサウナに長くはいれなかったけど水風呂気持ちよかった。終わった後に二回のご飯屋さんで食べたポテトがおいしかった。

ショウガビールもうまかった。

文房具をいっぱい買った

NOLTYビジネスベーシックダイアリー

見開き2カ月ブロックというのがいいな~とおもったので購入。2024年のメイン手帳はこれにしようと思う。

hibino

一日二ページ手帳。2024年の日記はここに書きたいな。辞書みたいでかわい~です。

サンキュ!11月号

付録の手帳目当てで買った。お金の管理がしやすいと教えてもらったので、家計簿ノートとして使いたい。

からっぽペン(ほそ芯・細筆)

トラベラーズノートや便箋に万年筆で書くとびみょ~ににじむのが気になっていたので買ってみた。

どちらにも相性いい感じ!さらに本業用に使っているペルパネプのツルツルノートとからっぽペンほそ芯の相性がめっちゃいい!専用のファインライターよりもするするかける~~~うれしい~~~!

ファインライターは黒しかなかったので、色ペンでコメントがつけられたりすることでかなり本業のメモがはかどっている。

ゆうさりノート

箔押し加工?がされてる表紙がかわいかったので買った。万年筆による筆記特化ということで、トラベラーズノートはからっぽペン筆記にしてこのノートで万年筆を楽しむか~という気持ち。冒頭のダイジェストやダンサーインパリスの感想などはゆうさりノートで書いてます。

SARASA grand キャメルイエロー

万年筆を持ち歩くと失くすので、持ち歩きメモ用にちょっと気取った感じのボールペンを買った。ちょっと重いし書き味的に言えばSARASAの普通のやつ一択なのだが、まあ道具というものは使っているときの気分も込みなのだ

レターセットいろいろ

まだ届いてないけど買ったもの

マットホップ

ほぼポスカ!という投稿を見て気になったのでポチってしまった。

ポチっとシックス

顔のマークのやつ。毎日のふんわりとした体調を記録するのにどうかなと思い。

ロルバーンダイアリー横型

体調記録&本業進捗記録用。見えるところに置いておいて、一ケ月の進捗と体調が概観できるといいかと思い…。

フィルターインボトルについてはここ

11月がやってくる

大大大出費だったので11月は自重したいですね。レターセットを使い切る勢いで書いていきたいです。

2

はいずりと復活の秋【おしらせあり】

10月になった。1月~12月サイクルよりも4月~翌年3月サイクルで動いているので、7月よりも10月のほうが「下半期」という意識が強い。

寝言でちょっと言っていたが、9月のラスト10日を残して創作意欲がブツッと消えてしまったのでサイトの更新をほとんどやめていた。実はトーチウェブの漫画賞に応募しようとか考えていたのだが、9月末に本業&寄稿の締め切りを抱えていたのでぐにゃ~~~となってしまい、結局他人に迷惑をかけない程度に活動することしかできなかった。

このまま創作をしなくなるのだろうかと思った時に毎度思うのは、「じゃあどうやって日々を過ごしていけばいいのだ」ということだ。再三言っているのでもう飽きた話かもしれないが、絵を描くのが一番簡単な暇つぶしなので、それがなくなるとたいそう難しい。日々を自分で作るという意識はもう持てないという感覚があって、陽が沈むまでの時間をなるべく平穏に消費することしか考えられない。

寄稿のものをきっかけにどうにか絵を描けた。

こういう元気がしおしおの時を何度か繰り返して思ったのは、結局、何度も見たことがあるが毎回萌えられるものを見るのって元気になる手段として重要だ、ということだ。年齢を重ねるとともに同じものしか見られなくなることに焦りを禁じ得ないが、元気があったって新しいものを見るのに腰が重いのに元気がないときに新しい萌えを得るのはさらに難しいとあきらめがついた。もうセリフを先読みできるレベルで繰り返し見たアニメを観ていたら元気が出てきた。心を動かすということがやはり大切なのだと思う。

読んだ本とか

竹宮ゆゆこ『あれは閃光、ぼくらの心中』

『とらドラ!』ど真ん中世代なので、竹宮ゆゆこが好きだ。そのまま謎の愛着を持っていて、ラノベから一般文芸へ舞台を移した後も買うだけ買っている。積読生成機と化した私は買うだけなのだが。そしてこの本も2022年発売のものだ。ぎりぎり1年間丸々空けずに読み切ることができた。

一般文芸よりになった竹宮ゆゆこ作品は『知らない映画のサントラを聴く』『砕け散るところを見せてあげる』『あしたはひとりにしてくれ』『お前のすべてが燃え上がる』『応えろ生きてる星』は読了しているのだが、それまで読み終わって排出されるのは、「ポップなシリーズもの読みてえよ~」という厄介ラノベおたくの感情であった。竹宮ゆゆこの一般文芸的な需要の部分は多分性別を問わない「激情」の描写なのだと思うのだが、一方で私は氏のポップな会話劇やなんてことないうれしみおかしみがサイコ―に楽しくなる/悲しくなる瞬間がシリーズ形態で続いて編まれていく様子も好きだったので、「これがシリーズになればいいのに……」と切なくなることもあった。

しかし今回の作品はそのいいとこどりというか、短期間で濃厚なんだかくだらないんだかわからない「日常」を積み重ねていき、そのあとにたどり着く激情に飛躍がなく、一冊で長期シリーズを読んだような満足感があった。

未読了作品『あなたはここで、息ができるの?』は冒頭の描写がグロすぎて頑張らなきゃ読めないのだが、『いいからしばらく黙ってろ!』はポップそうなので読めるかな。最新刊『心臓の王国』が7月に発売されています。もしよければ読んでみてください。

ヤマシタトモコ『違国日記』

見るたびに「おんごくにっき」と読み違えていたシリーズが完結した。大昔にやっていた一人ラジオでも取り上げたことのある作品だ。

キャラクターそれぞれに傲慢さと加害性があり、そこに「傲慢さと加害性がありますね」と指摘するようなストロングスタイルの誠実さがある作品なので、読むと結構つらい。もっと言うと説教されている気分になる。

そしてその指摘をするキャラクターにも傲慢さと加害性があるので、「じゃあお前は何なんだよ~~~」というむかむかになる。多分結構すごい作品なんだと思うのだが、私はこの作品においてだいぶ例に挙げて指摘されるような存在、簡単に言えば甘やかされて育ったがゆえに自分の意見を言うことにためらいがなく他者にそのためらいがあることの理解が基礎にない存在であるので、読んでるとすっごい肩身が狭かった。

ただ、いろいろなイラつきややりきれない気持ちがあるうえでも、それらの感情の原因である登場人物の一言に心が救われる瞬間もあり、ありきたりな言葉だが人間の多層性というものを経験として感じさせられる作品になる。どうしても他人事として読めない、土俵に引きずりあげられているような気分になる、「あなたのことですよ」「そして、私はあなたと話すことを考えています」と呼びかけてくる作品である。

基本的人権の話と最終巻の弁護士の感じが好きです。これを読み終わったときに、朝の卒業と旅立ちを喜べる心境に慣れてよかったと思います。

その他みたもの

映画「ライ麦畑の反逆児」

心がおわりの時に途中まで見た。なんかよかった気がする。

田沼朝『いやはや熱海くん』

pixivでみてたひとで絵が好きだったので買った。私はマイノリティ属性を持つ人が出てくる作品の「正しさ」へのこだわりオーラのようなものが苦手なのだが(間違っている他者、という前提を持つものを見ることが多いので)、そういうことがなく、「熱海くん」というものに向き合わせてくれてよかった。

谷口奈津子『ふきよせレジデンス』

同作者『教室の片隅で青春がはじまる』が好きだったので買ってみた。ほっとする。

雑誌『スピン』第4号

スピンの表紙が好き。なのだが買うまでに至ってなかったので買ってみた。ピノキオPのエッセイがいいなと思った。

ゲーム『なつもん!』プレイ中

まだ2日目!!!だが面白いです。たのしい。ゲームの感想言うの下手か?

お知らせ

第6回ぐんコミ1日目(11/25土)に出展します

おでかけライブが撤退した同人誌即売会不毛の地である地元群馬に勃興した同人誌即売会、ぐんコミ

客層もなんもかんもわからず土地勘しかありませんが参加します。

あと1か月でどこまで用意できるのかははなはだ疑問ですが、やってみたいのは以下のもの。

【新刊】 ひとり雑誌『渦転』二号(2023年11月号)

  • インクトーバーに沿って漫画や絵や手書き文字とか書いてそれのまとめ
  • ネップリまとめ
  • 創作男男の小説
  • プリペラカラー口絵プランでみちコミ後に描いたカラーイラスト4P入れる

【新グッズ】

  • ちょぶくんステッカー
  • ちょぶくんシール第2号

【コピー本できたら】

  • なんかエッセイみたいなやつ →旅行や手帳や万年筆の話

SUZURIに商品を登録してみました【現在全品対象セール中です】

ご飯スケッチや嘘日記の絵を登録してみました。10月8日まで全品対象セール中なのでもしよければ覗いてみてください。

サイトの改築いつやるねん!て感じですが、今後もぼちぼち活動出来たらなと思います。よろしくお願いします。

おまけ:10月の見たい映画リスト

  • アリスとテレスのまぼろし工場(岡田摩里)
  • 夏空ダンス(むりそう)
  • アンダーカレント(今泉力也)
  • べいびーわるきゅーれ(アマプラ)
  • ダンサーインパリス

追記:葬送のフリーレンの第1話を観ました。ハイターさんに萌え萌えです。

8

週報0807-0813

風邪をひいていたら一週間が終わってた。一応昨日筋トレをした。

筋トレは「お湯を沸かしている時間」に行うから習慣化されやすいが、ストレッチは「風呂に入った後」という感じなので習慣化されにくい。何かを待っている時間にできるといいのだが……あと風呂上りは暑すぎてストレッチをする気持ちになれない……。


帰省をしており、早く起きられた日は母親と散歩をしている。最近ピクミンブルームを始めたので、歩くことには積極的だ。ピクミンは一度もやったことがないが、何ともとぼけた顔をしていてかわいい。特別なピクミンは「デコピクミン」と言って着ぐるみのようなものを身につけることがあるのだが、どんぐりのデコ紫ピクミンがたいそうかわいくてお気に入りだ。

「平成狸合戦ぽんぽこ」を観た。人間を脅かして開発を止めようという狸の目論見は失敗し、変化できる狸は人間に変化して修飾し、そこで飯にありついているのだが、人間と違い「変化をする」ということにも力を使っているため、周りよりも体力を消耗しやすく参ってしまう狸もいるとのことだった。これを見たとき、自分の体力のなさに悲しくなる時は「自分は変化狸なのだ」と思うことにしよう、と思った。


少し前になるが、大逆転裁判の宝塚を観た。ゲームのモーションが人間っぽいのか、宝塚の役者さんの再現度が素晴らしいのか、かなり「3次元に大逆転裁判のみんながいる!」と感動できた。特に成歩堂龍ノ介の眼の泳ぎ方、ぎょっとしかたなどが素晴らしかった。私の大好きなキャラクター、ソーセキさんも大活躍だったし、本来の謎と世界の仕組みが関わってくる感じも「逆転裁判」」らしく、素晴らしい舞台だった。女王様がとっても素敵!

大逆転裁判の話は続く。朗読劇も見たのだ。アイリスちゃんの声がかわいいのはもとより、呼吸の仕方なども「子供が一生懸命しゃべっている」という感じで、子役がやっているのかと思うほどだった。素晴らしかった。そして竹本さん演じるソーセキさんの大活躍!ガクガク震えるところやイーッとなるところなど、セリフとしぐさの一つ一つに「似ている!!!!」と声を上げてしまった(配信で観ているのでいくらでもしゃべれるのだ)。舞台もやっている声優さんのこのような豊かさ、独特のうれしさがある。


怪盗クイーン ケニアの大地に立つ』を読んだ。はやみねかおる作品は「現実をみとめたうえで、それでも」という祈りがあり、「こんな物語もあるから、まだ頑張ろう」という声かけを子供たち・私たちに向けて常に行っており、その覚悟に圧倒される。「世界がこわれてしまえばいい」と願う文太のようなひとは、多分私の周りにもたくさん存在している。作中にも言及されているように、教育や医療の充実具合で言えば、我々の暮らしはかなり恵まれている。しかし、その中でもどうにもやりきれない思いがある。いくら自分が恵まれていると言われていても、このやりきれなさは消えることがない。しかし、世界=自分の周りを少しずつ広げていくことで、世界の形は変わり、「こわれればいい」と思うものではなくなっているのかもしれない。そういうメッセージを、子供が世界を知る身近な手段である「本」「物語」という形で伝えて彫り、呻るしかなくなった。すげ~。


ネットプリントをやっています。セブンはもう終わっているので、ファミマ・ローソンからプリントしてください。ペン画がちょっと上手になりました。


今はひたすらピクシブ企画の漫画を描いている。ここで得た気付きもちゃんと書いていきたい。

3

現実を生きる覚悟を決めること—映画「君たちはどう生きるか」感想—

「君たちはどう生きるか」を観てきた。

病院の火事により母親を失った少年眞人が戦禍を避けるため東京を離れ、母親の実家のような田舎の広々とした家で暮らし始めるところから話が始まる。

駅を降りたら母親とそっくりな女性が迎えに来る。何かと思えばそれは母親の妹で、しかも眞人の新しい母親になるのだという(義母=叔母のお腹にはすでに子供がいる)。新しい学校にはなじめず初日から喧嘩をするなど、眞人の前には受け入れがたい現実が広がっている。

そんな少年がひょんなことから異世界へ行き帰ってくる過程で現実を受容するという、言ってしまえば「よくある夏映画」だと感じた。その中で好きだったところの感想を述べていく。

この映画はきちんと「夏映画」で、現実を受容するという目標がかなり達成されているように感じた。私が言う「夏映画」とは、おおよそ夏に公開され、普段自分が住んでいるところと違う世界へ行き、そこで現実に帰りたいという思いが芽生え、現実を受容する体験をするというものである。「親の帰省映画」もこれに含まれる。なにも全くの異世界じゃなくとも、子供にとって都会⇔田舎の行き来はかなりの異世界だからだ。

さて、そんな「異世界」において、多くの作品では現実に結びつかない人間と手を取り合って冒険したり、困難を乗り越えたりすることが多いだろう。サマーウォーズでは主人公を応援するのは住み込み先の大家族だし、千と千尋では湯屋の人々と協力することになる。しかし今回では、主人公眞人と手を取り合う仲間の中に、若い姿のキリコ(お手伝いのおばあさん)や、死んでしまった母親が含まれている。かなり現実に近いところでの夢想の異世界となっているのだ。

印象的だったのはキリコの部屋の机の下で眞人が寝ているシーンで、寝ている眞人の周りにキリコ以外のお手伝いのおばあさんを模した人形が配置されている。キリコはそれを「あんたを守っているんだよ」と述べる。冒頭のシーンで眞人の父親の荷物をあさるおばあさんたちはかなりいやらしく描かれていたがしかし、年少者の眞人を守ろうという意思はあることは、頭をけがした眞人をかいがいしく世話する姿からも描写されている。現実では、眞人はほとんどおばあさんたちを受容する様子がなかったが、ここで一段、眞人は受容の段階を踏むのである。

眞人が異世界に入り込んだ理由は、義母であるなつこさんを探し出すためだ。しかしそれは表向きの事情であることはアオサギのセリフからも描写されている。眞人は現実から逃げ出したい思いがあった。だがおそらく、彼は他者の傷つく姿をみたいわけではなかったのだろう。なつこは父親の想い人であるから、なつこと一緒に帰らないといけない、少なくとも、なつこだけでも返さなくてはならないという思いがあった。その点が産屋のシーンへとつながると私は考えている。産屋に入った眞人は、なつこに声を掛ける。ここで眞人は初めてなつこからの拒絶を受ける。これを契機として、眞人はなつこを「お母さん」と呼び始める。眞人は拒絶されたことで何を得たのか、それは、自身がなつこを傷つけていたという事実であり、対等な人間として扱われた瞬間であったり、眞人をどうしても無事に現実へ返したいというなつこの思いだったりしたのだろう。

私がこの映画を観て一番感心したのは、クライマックスシーンの積み木を積むか積まないか、帰るか帰らないかという問答で、「あの悪意まみれの世界に戻るのか」と問われた眞人が「友達を作ります」と明言したことである。

「友達を作ります」という宣言は、私の観てきた映画の中ではほぼなかったものである。しかしこれこそ、異世界から帰る子供に必要な覚悟ではないだろうか。

異世界は何のためにあるのか、夢想は何のためにあるのか、物語は何のためにあるのか。それらはすべて、現実を生きるためにあると私は思っている。異世界では友達がいるから現実で孤独でもいいのではない。異世界で友達を作れたのだから、現実でも人と意思の疎通ができるようになっているはずなのだ。異世界から帰るために眞人が下した決断が、「友達を作ること」であるのならば、いや、だからこそ、眞人は異世界に行ったかいがあり、正しく帰ってこられるのではないだろうか。

物語の祈りを借りて、私たちは現実を生きていく。彼らが向かう異世界は、現実ではありえないことが起こる。非常に物分かりのいい年長者や、美しい世界、恐ろしいがどこかとぼけている敵。現実とは違うこういう状況の中で、彼らは自身の姿を確認する。なつこを傷つけていたこと、おばあさんたちが自分を守ってくれていること、自分のことを知ってもらえないまま、母親が死んでしまったのが悲しかったこと。

そこから帰ってくるために、彼らに必要なのは異世界での思い出ではない。現実を生きるという覚悟なのである。

4

漫画と映画とゲームの記録 2023年6月号

高 妍『緑の歌 – 収集群風 – 』

書店に行くたびに気になっていたが、表紙から「ガーデニングの話だ」と信じて疑っていなかったので手に取りあぐねていたところ、友人が貸してくれて読むに至った。まったくガーデニングの話ではなかったし、何なら植物はほとんどといっていいほど出てこなかった。山というより海の話だったし。

音楽に心を動かされる人がいるらしい。らしい、というのは、私もたしょうになりとも動かされることがあるのだが、なんとなく、私よりもはるかにそれらのアピールを受け取っている人々がいると感じている。それらの人はどうやって音楽と親しみ、どのように音楽を聴いているのかというのは常々疑問であった。疑問でもあったし、憧れでもあった。私にも音楽に救われた夜があったら、と思うくらいには。

この漫画は、音楽に身をゆだねる瞬間、身をゆだねることでは何も解決しないけど、少し今がつらくなくなる瞬間のことを私にのぞかせてくれた。自分の中の切り替えのようなものを、音楽の力を借りてゆっくり行っているように見えた。

また、登場人物が何度も悩む主人公に対し同じ質問をしているのが印象に残った。「我慢しちゃいけないよ、何かあったら聞くからね」というのは、私の世界では一度だけ言う言葉のようになっている。しかし、主人公の周りの人間は主人公に対し何度も聞く。黙っていて変わることってあまりないから、音楽を聴いて少し諦めるか、友人に話を聞いてもらって解決するかという行動が必要だ。主人公は音楽と友人、そして小説と、文を自ら書くことで先に進む選択を続けている。音楽は重要な要素ではあるが、それがすべてではない。しかしすべてではないからこそ、他のことができないことを音楽が助けてくれる。そんなときが彼らにはあるし、私にもこれから来るのかもしれない。

赤坂アカ・横槍メンゴ『推しの子

最新話まで読んだ。結構徹底して伏線と復讐の話で、怖い話でもあるし一部露悪的な部分もあるのだがイラストがかわいいというか、キャラクターの良心の存在を感じさせる絵柄をしているので怖すぎないで読める。

アイドルの話よりも芸能界の話よりも、演劇・演技の話が中心になっているのは意外だったし、私はそういった話が好きだから思わぬ収穫というか、予想外の面白さがあった。

みんな元気で仲良くやっていてほしいと思うと同時に、そうはいかないんだろうなあという悲しさがある。

大白小蟹『うみべのストーブ 大白小蟹短編集

表紙が気になって買った。この作品だけでなく、トーチwebの作品は結構好きだ。

「今生きている人」の話をしているな。という感覚だった。私の年代より少し上くらいの人たちが主人公というかメインに据えられているからそう思うのだと思う。今の私の話だ、と思って読んだ。

表現をすること、愛に生きること、そういった「人生のクライマックス」の後を生きる人たちが、それで終わらせずに楽しく生きる方法を模索しているような作品たちだ。と思った。夫が透明人間になる話が特に好き。

私は今とにかく現実を生きているのが苦痛で、ずっとずっと何かを観たり聞いたりしながら「今」を消費して生きているのだが、そうなってしまっていても丸裸の感情になって今を楽しんだり悲しんだりするときがある。そういう瞬間を思い出させてくれるような作品だった。


南極料理人

寝る前にぼんやり映画を観よう、と思った時期に観始めて眠くなったら決して、を繰り返していたらぼんやりしているうちに配信終了日が近づいていたので観た。ごはん、徒然なる日々、小さな喜怒哀楽と、私の好きなものが詰まっている作品だった。こういうのをずっと見ていたい。ラストシーンがめっちゃ好き。

岸部露伴ルーヴルへ行く

パンフレットその他を読んでいないので全部間違ってるのかもしれないのだが、パリ現地の案内役の人がすごく興味深かった。リズムというかなんというかが私の想像する現地の人のものである、というか、日本で演技してきた人じゃないような感覚があった。不必要に笑わず、声のトーンが低めだけど不愛想であるという演出でもない。解説内容は充実しているが、雑談などは少なく必要最低限の案内。岸部露伴や編集者の演技の癖は強いから最初はわかりにくかったが、日本人キュレーターという役柄で男性俳優が出てきたときに、「日本の俳優ってこんな感じで、なんかわからないけどニコニコしているよな」という感覚になった。その後ストーリーに関わって演技もしてたから俳優さんなのだとは思うのだが、なんだか新鮮で興味深かった。

相席食堂

アマプラでずーっと観ている。お笑い芸人の話し声というかトークが好きだ。ただ集中して聞いてめっちゃ面白い!!みたいなのはじっと見ていなければならないので流し聞きできるラジオのほうが好きだ。ラジオは今まで聴いていた分のバックナンバーをほとんど聞いてしまってストックがないので、とりあえず気になる回からどんどん観ている。お笑い芸人は失敗をするところをカメラに取られることがよくあるし、自分の失敗の話をラジオでしてくれる。それを周りが笑って成立させてくれたり、本人がそうやって失敗しても元気に生きているのを見ると、自分の失敗も許されていくような感覚になる。

ZAZY&狩野英孝の回がすきです(シーズン4エピソード23)。

ラブトランジット

時間が無限にあるのか!?というわけではないのだが本当に何も考えたくない日々が多すぎてこういうのも見ている。人間がしゃべっているのが好きなのだ。結構入り組んでて大変だしみんな精神の限界が来ていて本当に心配になってくるからもう見ないかもしれない。こうへいという方がとてもいい人だ。


パラノマサイト

めっちゃ面白いゲーム!!!いまやってる!もうすぐクリア!

情報出てきてそれが全部記録されててちゃんと読むとストーリーをどう進めればいいのかのヒントがあって、昭和の墨田区が舞台なんだけどそこがどうだったかとかの史料もあって世界がよくわかってキャラもかわいいしめーーちゃ面白い!!

7月の目標は字の本も読むことです。

0