観たり読んだりしたものとざっくり振り返り

最近ずっと寝言とTwitterとブルースカイと、ブルースカイで知り合った方が作ったディスコードサーバーでくだをまいていて、ブログを書いていない。別にそれでもいいのだが、くだをまくとき私はおおよそ露悪的になっていて、今現在あらゆるSNSで悪ぶる怖い人間と化している。

なので、まあ連ツイしそうなはなしはここに書くか……という心づもりで、これからブログを更新してみようと思う。一日に何度も更新されたりするかもしれない。ここは長めのTwitter。ところで、私はどんだけTwitterが好きなんだ……?

最近見た映画

東京物語

作業しながら見た。ゆっくりだったからそれでもみられた。意外と難しくなくて面白かった。

眠れる森の美女

思った話とだいぶ違った!青の妖精メリウェザーが自分でクッキーとカップ出してるところが面白くて好き。眠れる森の美女って城中の人間が眠るのもマレフィセントのせいだと思っていたが、マレフィセントが関与していたのは姫の眠りのみで、うっかり姫をマレフィセントと出会わせてしまった妖精が城中の人間を眠らせていた(大規模な隠ぺい工作!)。また結構すぐに王子は助けに行っており、後半はほとんど王子VSマレフィセントのダンジョンものだった。美女の城がいばらの城になるのはマレフィセントが王子の助けを妨害するためで、1000年くらい茨になってるのかと思いきや作中およそ1時間にも満たないくらいなんじゃないか?ちなみに城中の人間と姫が眠ってたのは二時間ぐらいだと思う。意外と時のスケール感は小さかった。面白かった。

枯れ葉

めっちゃおもしろかった~~~~~~~~~~!!!現在も上映してるところはあると思うので頼むから見に行ってくれないか?!シビアな現実の踏まえたポーカーフェイスコメディです。頼む!!

PERFECTDAYS

こちらも面白かった。私は車道がたくさん出てくる映画が好きだ。車社会で移動のたびに車に乗っていたから、車道が原風景みたいなところがある。本作と『枯れ葉』はぜひセットで見てほしい。この作品たちが同時期に上映されていることを抱きしめたい。

ポカホンタス2

姉と観た。呆れ、爆笑し、困惑し、やや怒りながら見た。ポカホンタス無印を踏まえた第二次創作ときめきメモリアルだった。多分史実は2寄りなのだろうが。1を見て感動した直後には見ないほうがいい。でもツッコミ可能上映だったら面白いと思う。

最近やったゲーム

コーヒートーク

なんかクリアしていたことに気づかず4週くらいしていた。クリアしていた。面白かったので2もやりたい。このレシピ集って出ないのかな。

ファミレスを享受せよ

面白でした!サクッとできるし不思議な感じで面白かった。こういう体温の低い感想したゲーム好きだ。こういうゲーム、いつかつくってみたいなー

Your letter has been rejected

サクッとできた!と言いたいところだが12月でずっと詰まっていた。でも適度な難易度で楽しかった。あとで姉にやらせたらノーミスでクリアしていた。

未解決事件は終わらせないといけないから

面白かった~!!仕様の感じ見てるとswitchとかに移植はむずいんじゃないか?と思うのでいろんな人が実況やっちゃって気になってしまう前に迷ってるならやるといいと思う。絵がかわいい。姉とワイワイやった。ひとりじゃできなかったかも。ゲームやっててハッと気づく感じが好きな人はぜひやれ~~~~~~~~

恐怖の世界

まだやってる途中!何が何だかさっぱりわからず積みかけたが個人サイトを見てくださった方から情報を頂いて何とか進めている。楽しめる予感はするから頑張りたい!

読んだ漫画

キンドルでいろいろ買って読んだので、以下好きだったものを羅列。

  • これ描いて死ね
  • イケメン騎士を拾ったんだがどうしたらいい?
  • ほてりほてってファーストキス
  • 夏・ユートピアノ
  • 四十九日のおしまいに
  • MAMA
  • 十次と亜一
  • インターネット・ラヴ!

ジャケ買いで少女漫画を発掘できたのが特にうれしかった!卯月ココ、追うぞ~!

簡単な二月の話

1月末の大変なことを終えて二月はずっと休んでいた。凪あす10周年記念の企画を開催しているロケ地に旅行に行ったり、東京に行ってインターネットの人と会ったりした大きいイベントを、主に実家で絵を描いてつないでいた。3月からまた生活が始まっていく。がんばる。

ひっそりとネットプリント毎月更新やってます。今月も。

3

はいずりと復活の秋【おしらせあり】

10月になった。1月~12月サイクルよりも4月~翌年3月サイクルで動いているので、7月よりも10月のほうが「下半期」という意識が強い。

寝言でちょっと言っていたが、9月のラスト10日を残して創作意欲がブツッと消えてしまったのでサイトの更新をほとんどやめていた。実はトーチウェブの漫画賞に応募しようとか考えていたのだが、9月末に本業&寄稿の締め切りを抱えていたのでぐにゃ~~~となってしまい、結局他人に迷惑をかけない程度に活動することしかできなかった。

このまま創作をしなくなるのだろうかと思った時に毎度思うのは、「じゃあどうやって日々を過ごしていけばいいのだ」ということだ。再三言っているのでもう飽きた話かもしれないが、絵を描くのが一番簡単な暇つぶしなので、それがなくなるとたいそう難しい。日々を自分で作るという意識はもう持てないという感覚があって、陽が沈むまでの時間をなるべく平穏に消費することしか考えられない。

寄稿のものをきっかけにどうにか絵を描けた。

こういう元気がしおしおの時を何度か繰り返して思ったのは、結局、何度も見たことがあるが毎回萌えられるものを見るのって元気になる手段として重要だ、ということだ。年齢を重ねるとともに同じものしか見られなくなることに焦りを禁じ得ないが、元気があったって新しいものを見るのに腰が重いのに元気がないときに新しい萌えを得るのはさらに難しいとあきらめがついた。もうセリフを先読みできるレベルで繰り返し見たアニメを観ていたら元気が出てきた。心を動かすということがやはり大切なのだと思う。

読んだ本とか

竹宮ゆゆこ『あれは閃光、ぼくらの心中』

『とらドラ!』ど真ん中世代なので、竹宮ゆゆこが好きだ。そのまま謎の愛着を持っていて、ラノベから一般文芸へ舞台を移した後も買うだけ買っている。積読生成機と化した私は買うだけなのだが。そしてこの本も2022年発売のものだ。ぎりぎり1年間丸々空けずに読み切ることができた。

一般文芸よりになった竹宮ゆゆこ作品は『知らない映画のサントラを聴く』『砕け散るところを見せてあげる』『あしたはひとりにしてくれ』『お前のすべてが燃え上がる』『応えろ生きてる星』は読了しているのだが、それまで読み終わって排出されるのは、「ポップなシリーズもの読みてえよ~」という厄介ラノベおたくの感情であった。竹宮ゆゆこの一般文芸的な需要の部分は多分性別を問わない「激情」の描写なのだと思うのだが、一方で私は氏のポップな会話劇やなんてことないうれしみおかしみがサイコ―に楽しくなる/悲しくなる瞬間がシリーズ形態で続いて編まれていく様子も好きだったので、「これがシリーズになればいいのに……」と切なくなることもあった。

しかし今回の作品はそのいいとこどりというか、短期間で濃厚なんだかくだらないんだかわからない「日常」を積み重ねていき、そのあとにたどり着く激情に飛躍がなく、一冊で長期シリーズを読んだような満足感があった。

未読了作品『あなたはここで、息ができるの?』は冒頭の描写がグロすぎて頑張らなきゃ読めないのだが、『いいからしばらく黙ってろ!』はポップそうなので読めるかな。最新刊『心臓の王国』が7月に発売されています。もしよければ読んでみてください。

ヤマシタトモコ『違国日記』

見るたびに「おんごくにっき」と読み違えていたシリーズが完結した。大昔にやっていた一人ラジオでも取り上げたことのある作品だ。

キャラクターそれぞれに傲慢さと加害性があり、そこに「傲慢さと加害性がありますね」と指摘するようなストロングスタイルの誠実さがある作品なので、読むと結構つらい。もっと言うと説教されている気分になる。

そしてその指摘をするキャラクターにも傲慢さと加害性があるので、「じゃあお前は何なんだよ~~~」というむかむかになる。多分結構すごい作品なんだと思うのだが、私はこの作品においてだいぶ例に挙げて指摘されるような存在、簡単に言えば甘やかされて育ったがゆえに自分の意見を言うことにためらいがなく他者にそのためらいがあることの理解が基礎にない存在であるので、読んでるとすっごい肩身が狭かった。

ただ、いろいろなイラつきややりきれない気持ちがあるうえでも、それらの感情の原因である登場人物の一言に心が救われる瞬間もあり、ありきたりな言葉だが人間の多層性というものを経験として感じさせられる作品になる。どうしても他人事として読めない、土俵に引きずりあげられているような気分になる、「あなたのことですよ」「そして、私はあなたと話すことを考えています」と呼びかけてくる作品である。

基本的人権の話と最終巻の弁護士の感じが好きです。これを読み終わったときに、朝の卒業と旅立ちを喜べる心境に慣れてよかったと思います。

その他みたもの

映画「ライ麦畑の反逆児」

心がおわりの時に途中まで見た。なんかよかった気がする。

田沼朝『いやはや熱海くん』

pixivでみてたひとで絵が好きだったので買った。私はマイノリティ属性を持つ人が出てくる作品の「正しさ」へのこだわりオーラのようなものが苦手なのだが(間違っている他者、という前提を持つものを見ることが多いので)、そういうことがなく、「熱海くん」というものに向き合わせてくれてよかった。

谷口奈津子『ふきよせレジデンス』

同作者『教室の片隅で青春がはじまる』が好きだったので買ってみた。ほっとする。

雑誌『スピン』第4号

スピンの表紙が好き。なのだが買うまでに至ってなかったので買ってみた。ピノキオPのエッセイがいいなと思った。

ゲーム『なつもん!』プレイ中

まだ2日目!!!だが面白いです。たのしい。ゲームの感想言うの下手か?

お知らせ

第6回ぐんコミ1日目(11/25土)に出展します

おでかけライブが撤退した同人誌即売会不毛の地である地元群馬に勃興した同人誌即売会、ぐんコミ

客層もなんもかんもわからず土地勘しかありませんが参加します。

あと1か月でどこまで用意できるのかははなはだ疑問ですが、やってみたいのは以下のもの。

【新刊】 ひとり雑誌『渦転』二号(2023年11月号)

  • インクトーバーに沿って漫画や絵や手書き文字とか書いてそれのまとめ
  • ネップリまとめ
  • 創作男男の小説
  • プリペラカラー口絵プランでみちコミ後に描いたカラーイラスト4P入れる

【新グッズ】

  • ちょぶくんステッカー
  • ちょぶくんシール第2号

【コピー本できたら】

  • なんかエッセイみたいなやつ →旅行や手帳や万年筆の話

SUZURIに商品を登録してみました【現在全品対象セール中です】

ご飯スケッチや嘘日記の絵を登録してみました。10月8日まで全品対象セール中なのでもしよければ覗いてみてください。

サイトの改築いつやるねん!て感じですが、今後もぼちぼち活動出来たらなと思います。よろしくお願いします。

おまけ:10月の見たい映画リスト

  • アリスとテレスのまぼろし工場(岡田摩里)
  • 夏空ダンス(むりそう)
  • アンダーカレント(今泉力也)
  • べいびーわるきゅーれ(アマプラ)
  • ダンサーインパリス

追記:葬送のフリーレンの第1話を観ました。ハイターさんに萌え萌えです。

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漫画と映画とゲームの記録 2023年6月号

高 妍『緑の歌 – 収集群風 – 』

書店に行くたびに気になっていたが、表紙から「ガーデニングの話だ」と信じて疑っていなかったので手に取りあぐねていたところ、友人が貸してくれて読むに至った。まったくガーデニングの話ではなかったし、何なら植物はほとんどといっていいほど出てこなかった。山というより海の話だったし。

音楽に心を動かされる人がいるらしい。らしい、というのは、私もたしょうになりとも動かされることがあるのだが、なんとなく、私よりもはるかにそれらのアピールを受け取っている人々がいると感じている。それらの人はどうやって音楽と親しみ、どのように音楽を聴いているのかというのは常々疑問であった。疑問でもあったし、憧れでもあった。私にも音楽に救われた夜があったら、と思うくらいには。

この漫画は、音楽に身をゆだねる瞬間、身をゆだねることでは何も解決しないけど、少し今がつらくなくなる瞬間のことを私にのぞかせてくれた。自分の中の切り替えのようなものを、音楽の力を借りてゆっくり行っているように見えた。

また、登場人物が何度も悩む主人公に対し同じ質問をしているのが印象に残った。「我慢しちゃいけないよ、何かあったら聞くからね」というのは、私の世界では一度だけ言う言葉のようになっている。しかし、主人公の周りの人間は主人公に対し何度も聞く。黙っていて変わることってあまりないから、音楽を聴いて少し諦めるか、友人に話を聞いてもらって解決するかという行動が必要だ。主人公は音楽と友人、そして小説と、文を自ら書くことで先に進む選択を続けている。音楽は重要な要素ではあるが、それがすべてではない。しかしすべてではないからこそ、他のことができないことを音楽が助けてくれる。そんなときが彼らにはあるし、私にもこれから来るのかもしれない。

赤坂アカ・横槍メンゴ『推しの子

最新話まで読んだ。結構徹底して伏線と復讐の話で、怖い話でもあるし一部露悪的な部分もあるのだがイラストがかわいいというか、キャラクターの良心の存在を感じさせる絵柄をしているので怖すぎないで読める。

アイドルの話よりも芸能界の話よりも、演劇・演技の話が中心になっているのは意外だったし、私はそういった話が好きだから思わぬ収穫というか、予想外の面白さがあった。

みんな元気で仲良くやっていてほしいと思うと同時に、そうはいかないんだろうなあという悲しさがある。

大白小蟹『うみべのストーブ 大白小蟹短編集

表紙が気になって買った。この作品だけでなく、トーチwebの作品は結構好きだ。

「今生きている人」の話をしているな。という感覚だった。私の年代より少し上くらいの人たちが主人公というかメインに据えられているからそう思うのだと思う。今の私の話だ、と思って読んだ。

表現をすること、愛に生きること、そういった「人生のクライマックス」の後を生きる人たちが、それで終わらせずに楽しく生きる方法を模索しているような作品たちだ。と思った。夫が透明人間になる話が特に好き。

私は今とにかく現実を生きているのが苦痛で、ずっとずっと何かを観たり聞いたりしながら「今」を消費して生きているのだが、そうなってしまっていても丸裸の感情になって今を楽しんだり悲しんだりするときがある。そういう瞬間を思い出させてくれるような作品だった。


南極料理人

寝る前にぼんやり映画を観よう、と思った時期に観始めて眠くなったら決して、を繰り返していたらぼんやりしているうちに配信終了日が近づいていたので観た。ごはん、徒然なる日々、小さな喜怒哀楽と、私の好きなものが詰まっている作品だった。こういうのをずっと見ていたい。ラストシーンがめっちゃ好き。

岸部露伴ルーヴルへ行く

パンフレットその他を読んでいないので全部間違ってるのかもしれないのだが、パリ現地の案内役の人がすごく興味深かった。リズムというかなんというかが私の想像する現地の人のものである、というか、日本で演技してきた人じゃないような感覚があった。不必要に笑わず、声のトーンが低めだけど不愛想であるという演出でもない。解説内容は充実しているが、雑談などは少なく必要最低限の案内。岸部露伴や編集者の演技の癖は強いから最初はわかりにくかったが、日本人キュレーターという役柄で男性俳優が出てきたときに、「日本の俳優ってこんな感じで、なんかわからないけどニコニコしているよな」という感覚になった。その後ストーリーに関わって演技もしてたから俳優さんなのだとは思うのだが、なんだか新鮮で興味深かった。

相席食堂

アマプラでずーっと観ている。お笑い芸人の話し声というかトークが好きだ。ただ集中して聞いてめっちゃ面白い!!みたいなのはじっと見ていなければならないので流し聞きできるラジオのほうが好きだ。ラジオは今まで聴いていた分のバックナンバーをほとんど聞いてしまってストックがないので、とりあえず気になる回からどんどん観ている。お笑い芸人は失敗をするところをカメラに取られることがよくあるし、自分の失敗の話をラジオでしてくれる。それを周りが笑って成立させてくれたり、本人がそうやって失敗しても元気に生きているのを見ると、自分の失敗も許されていくような感覚になる。

ZAZY&狩野英孝の回がすきです(シーズン4エピソード23)。

ラブトランジット

時間が無限にあるのか!?というわけではないのだが本当に何も考えたくない日々が多すぎてこういうのも見ている。人間がしゃべっているのが好きなのだ。結構入り組んでて大変だしみんな精神の限界が来ていて本当に心配になってくるからもう見ないかもしれない。こうへいという方がとてもいい人だ。


パラノマサイト

めっちゃ面白いゲーム!!!いまやってる!もうすぐクリア!

情報出てきてそれが全部記録されててちゃんと読むとストーリーをどう進めればいいのかのヒントがあって、昭和の墨田区が舞台なんだけどそこがどうだったかとかの史料もあって世界がよくわかってキャラもかわいいしめーーちゃ面白い!!

7月の目標は字の本も読むことです。

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誰も求めていなかった姿で帰ってきたあなたへ|TOA感想

私、ずっと思っていましたの

アッシュがキムラスカに戻ってきて、ルークと二人でお父様を支えてくださればいいのにと

でも私は間違っていたのですね。あなたとアッシュにはそれぞれの生きる道があった

それを私が、無効となった約束で縛り付けていたのですわ

今あなたの中にはアッシュがいる。以前の私なら、あなたとアッシュを混同していたかもしれません

でも、あなたはあなたですものね

ですから、あなたはあなたの思うままに生きてください

 

ゲーム「テイルズオブジアビス」より ナタリアのセリフ

初めに

本記事は、ゲーム「テイルズオブジアビス」のエンディングを中心とした内容に触れた感想記事である。書かれた内容は筆者のプレイ体験・視聴体験の記述であり、他者のそれを肯定・否定するものではありません。

筆者プレイ歴など

2011年に3DSリマスター版を購入後、かなり緩やかにプレイをして2019年に1週目クリア。2週目プレイ中。2022年12月実況者の動画をエンディングまで視聴。触れたことのあるテイルズシリーズは「テイルズオブジアビス」「テイルズオブバーサス」そしてアニメ版「テイルズオブシンフォニア」のみ。「テイルズオブジアビス」に関するコンテンツの知識はゲーム本編のみである。

表記

本記事では、キャラクター名を以下のように表記する。

  • オリジナルルーク:アッシュ
  • レプリカルーク:ルーク
  • ED後ムービーで現れた赤髪の青年:”ルーク”

感想

生まれてきてしまったことを認めるRPG

ジアビスの公称ジャンル名は「生まれた意味を知るRPG」である(テイルズチャンネル+より)。

レプリカとして生まれたルークは、自身の生まれた意味を探そうとする。しかし、旅を通してわかるのは、「自分は誰にも求められていない」ということばかりだ。だが、これには語弊がある。少なくとも、旅をしているときには、ルークに慕わしい気持ちを抱いている仲間たちがいる。しかし、それはルークの「生きる意味」にはなるかもしれないが、「生まれた意味」ではない。ルークの誕生に直接的に関与している人間は仲間たちの中にはいないし、直接的に関与している人間はルークを利用しようとしている。社会制度も整っておらず、レプリカの社会的地位は曖昧だ。ルークは記憶喪失状態のアッシュとしてたまたま育てられていたから、その流れで侯爵家に住まいを持っている。しかしそれは、もとをただしていけばいくほど、仮のものでしかないのである。

そんな旅を通して、ルークが、私が知るのは、「生まれたことに意味なんかない」ということ、そして、「結果として今生きてしまっているのだから、死ぬまでは生きていくしかない」ということだ。

ジアビスの一貫した姿勢として、「起きてしまったことは受け入れていくしかない」というものがある。生きるために人を殺してしまったこと、アグゼリュスを崩落させてしまったこと、ある人間の立場を奪ってしまったこと、自国の繁栄のために島を見放したこと……このような大事件を起こしてしまったこと、起こさせてしまったことを、登場人物たちは物語を通して何とか受け入れ、先に進んでいく。そして物語の終盤で、旅の終わりで、ルークは「生まれてきてしまったこと」を認めるのだ。

ED後ムービーの赤髪の青年

ラストのムービーの最後、仲間たちの前に赤髪の青年が現れる。ティアは彼を一度、「ルーク」と呼ぶ。“ルーク”は、アッシュに似た声色と口調で、ルークの記憶をもって話し出す。筆者は、この“ルーク”を、アッシュの体に、ルークの記憶が入った状態の人間だと解釈する。

“ルーク”は、ルークでもアッシュでもない。だが、全く新しい人間でもない。彼は、ナタリアと昔話をすることも、ティアとタタル渓谷での思い出を話すこともできるだろう。しかし、その場面場面でアッシュやルークに切り替わるわけではない。“ルーク”は“ルーク”として話すことしかできないのだ。

この状態を、少なくとも私は求めていなかった。アッシュだけ戻ってくるか、ルークだけ戻ってくるか、一番いいのは、ルークとアッシュが別々の人間として戻ってくることを、そしてそれぞれがそれぞれの道を歩んでいくことを求めていた。

彼のこのような姿を、求めていた人はそういないのではないだろうか。しかし私は、ここに、テイルズオブジアビスの根幹があるような気がしているのである。

物語に突きつけられた問い

“ルーク”は、ほとんどだれもが求めていない姿で帰ってきた。ナタリアやガイだけでなく、今度はティアたちも、相手の面影に誰かを重ねてしまう現象と向き合うことになるだろう。記憶を持っている分、全く別の人間として「初めまして」をするわけにもいかない。彼らは0ではないが1でもない状態から、“ルーク”と関係を作っていかなければならないのである。

そう、むしろ、課題を与えられているのは“ルーク”ではなく、彼を目の前にした登場人物、そして、私のほうなのだ。ルークに、「生きていていいんだよ」「生きていてほしいよ」といった私は、あの時簡単に言えていた、「生まれてくるのに意味なんかないんだから、どんな形でだって君のことが好きだよ」という思いを、もう一度持てるのかどうかを問われている。レプリカだったとしても、これまでに築き上げてきた関係があるじゃないか、と、もっともらしくガイやティアに同調していた私に、もう一度、「本当に?」と問いかけているのである。

これまで築き上げてきた関係の記憶はある、記憶だけがある、そんな状態の“ルーク”と、あなたはどう関わりますか?

テイルズオブジアビスは、そのような問いかけを私に突き付けてきた。

誰も求めていなかった姿で帰ってきたあなたへ

生まれてきたことに意味なんかない。生まれてきてしまったことを認めて、自分の意志で進むしかない。大切なのは自分がどうしたいかで、それを死んでしまうまでは続けていくしかないのである。

旅を終えた記憶を持つ“ルーク”はそれをきちんとわかっている。ラストムービーの彼は非常に安定した状態で、みんなと向き合っている。彼はもう答えを見つけている。そんな“ルーク”を私が受け入れることで、ルークの見つけた答えは証明され、物語は、旅は、終わるのである。

誰も求めていなかった姿で帰ってきたあなたへ

会えてよかった。とっても嬉しい。

あなたが、あなたの思うままに生きられることを、願っています。

これから、よろしくね。

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