漫画と映画とゲームの記録 2023年6月号

高 妍『緑の歌 – 収集群風 – 』

書店に行くたびに気になっていたが、表紙から「ガーデニングの話だ」と信じて疑っていなかったので手に取りあぐねていたところ、友人が貸してくれて読むに至った。まったくガーデニングの話ではなかったし、何なら植物はほとんどといっていいほど出てこなかった。山というより海の話だったし。

音楽に心を動かされる人がいるらしい。らしい、というのは、私もたしょうになりとも動かされることがあるのだが、なんとなく、私よりもはるかにそれらのアピールを受け取っている人々がいると感じている。それらの人はどうやって音楽と親しみ、どのように音楽を聴いているのかというのは常々疑問であった。疑問でもあったし、憧れでもあった。私にも音楽に救われた夜があったら、と思うくらいには。

この漫画は、音楽に身をゆだねる瞬間、身をゆだねることでは何も解決しないけど、少し今がつらくなくなる瞬間のことを私にのぞかせてくれた。自分の中の切り替えのようなものを、音楽の力を借りてゆっくり行っているように見えた。

また、登場人物が何度も悩む主人公に対し同じ質問をしているのが印象に残った。「我慢しちゃいけないよ、何かあったら聞くからね」というのは、私の世界では一度だけ言う言葉のようになっている。しかし、主人公の周りの人間は主人公に対し何度も聞く。黙っていて変わることってあまりないから、音楽を聴いて少し諦めるか、友人に話を聞いてもらって解決するかという行動が必要だ。主人公は音楽と友人、そして小説と、文を自ら書くことで先に進む選択を続けている。音楽は重要な要素ではあるが、それがすべてではない。しかしすべてではないからこそ、他のことができないことを音楽が助けてくれる。そんなときが彼らにはあるし、私にもこれから来るのかもしれない。

赤坂アカ・横槍メンゴ『推しの子

最新話まで読んだ。結構徹底して伏線と復讐の話で、怖い話でもあるし一部露悪的な部分もあるのだがイラストがかわいいというか、キャラクターの良心の存在を感じさせる絵柄をしているので怖すぎないで読める。

アイドルの話よりも芸能界の話よりも、演劇・演技の話が中心になっているのは意外だったし、私はそういった話が好きだから思わぬ収穫というか、予想外の面白さがあった。

みんな元気で仲良くやっていてほしいと思うと同時に、そうはいかないんだろうなあという悲しさがある。

大白小蟹『うみべのストーブ 大白小蟹短編集

表紙が気になって買った。この作品だけでなく、トーチwebの作品は結構好きだ。

「今生きている人」の話をしているな。という感覚だった。私の年代より少し上くらいの人たちが主人公というかメインに据えられているからそう思うのだと思う。今の私の話だ、と思って読んだ。

表現をすること、愛に生きること、そういった「人生のクライマックス」の後を生きる人たちが、それで終わらせずに楽しく生きる方法を模索しているような作品たちだ。と思った。夫が透明人間になる話が特に好き。

私は今とにかく現実を生きているのが苦痛で、ずっとずっと何かを観たり聞いたりしながら「今」を消費して生きているのだが、そうなってしまっていても丸裸の感情になって今を楽しんだり悲しんだりするときがある。そういう瞬間を思い出させてくれるような作品だった。


南極料理人

寝る前にぼんやり映画を観よう、と思った時期に観始めて眠くなったら決して、を繰り返していたらぼんやりしているうちに配信終了日が近づいていたので観た。ごはん、徒然なる日々、小さな喜怒哀楽と、私の好きなものが詰まっている作品だった。こういうのをずっと見ていたい。ラストシーンがめっちゃ好き。

岸部露伴ルーヴルへ行く

パンフレットその他を読んでいないので全部間違ってるのかもしれないのだが、パリ現地の案内役の人がすごく興味深かった。リズムというかなんというかが私の想像する現地の人のものである、というか、日本で演技してきた人じゃないような感覚があった。不必要に笑わず、声のトーンが低めだけど不愛想であるという演出でもない。解説内容は充実しているが、雑談などは少なく必要最低限の案内。岸部露伴や編集者の演技の癖は強いから最初はわかりにくかったが、日本人キュレーターという役柄で男性俳優が出てきたときに、「日本の俳優ってこんな感じで、なんかわからないけどニコニコしているよな」という感覚になった。その後ストーリーに関わって演技もしてたから俳優さんなのだとは思うのだが、なんだか新鮮で興味深かった。

相席食堂

アマプラでずーっと観ている。お笑い芸人の話し声というかトークが好きだ。ただ集中して聞いてめっちゃ面白い!!みたいなのはじっと見ていなければならないので流し聞きできるラジオのほうが好きだ。ラジオは今まで聴いていた分のバックナンバーをほとんど聞いてしまってストックがないので、とりあえず気になる回からどんどん観ている。お笑い芸人は失敗をするところをカメラに取られることがよくあるし、自分の失敗の話をラジオでしてくれる。それを周りが笑って成立させてくれたり、本人がそうやって失敗しても元気に生きているのを見ると、自分の失敗も許されていくような感覚になる。

ZAZY&狩野英孝の回がすきです(シーズン4エピソード23)。

ラブトランジット

時間が無限にあるのか!?というわけではないのだが本当に何も考えたくない日々が多すぎてこういうのも見ている。人間がしゃべっているのが好きなのだ。結構入り組んでて大変だしみんな精神の限界が来ていて本当に心配になってくるからもう見ないかもしれない。こうへいという方がとてもいい人だ。


パラノマサイト

めっちゃ面白いゲーム!!!いまやってる!もうすぐクリア!

情報出てきてそれが全部記録されててちゃんと読むとストーリーをどう進めればいいのかのヒントがあって、昭和の墨田区が舞台なんだけどそこがどうだったかとかの史料もあって世界がよくわかってキャラもかわいいしめーーちゃ面白い!!

7月の目標は字の本も読むことです。

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