一年間漫画を描いてみた

ピクシブ企画「十二の夜の夢学校」が昨日、2022/10/23/23:39に終了した。
一年スパンの企画で、私はこの企画に漫画作品を投稿していた。
外部交流厳禁の企画であったが、終了・アフター期間開始に伴いそれらも解禁されたので、この企画に提出した作品について少し話していきたい。他参加者様のキャラクターの名前を上げたり、画像を載せたりはしていない。

「十二の夜の夢学校(以下、十二夢)」の概要はこのようなものである。そもそも「企画」と呼ばれる創作活動について簡単に説明すると、主催側が提示した世界観(十二夢の場合は、夢の中の学校)にオリジナルキャラクターを参加させ、参加者の提出したオリジナルキャラクターたちとの会話を創作する、というものである。それぞれのキャラクターをそれぞれの創作物の中で交流させるため、そのような形の創作物は「交流作品」と呼ばれる。
創作の形は、ピクシブの場合は漫画が主流であり、交流作品を描く場合は漫画を描くことがほとんどである。企画内容が魅力的だったのと、漫画を描けるようになりたい、という思いから、私はこの企画に参加した。

小学生のころの夢はマンガ家であった。しかし、実際ペン入れまで一つのお話として完成させたものはない。企画自体には以前から参加していたが、2つ3つ作品を上げた切り続かない場合がほとんどだった。
キャラクターを提出させ、交流作品を頻繁に上げない参加形態をとることができる企画もあるが、十二夢は、「一か月に一作品のみ投稿可能」「三か月交流作品を上げない場合、以降そのキャラクターを使えない」という決まりだったため、緩くはあるが締め切りがある状態での参加である。これは私にとっては好都合だった。漫画を描くのに慣れていないから、毎週漫画を上げて交流のラリーを行うのはハードルが高い。しかし、まったく何もないときっと描かなくなってしまう。三か月に一回くらいなら何とか描けるかも…ということで、参加することにした。その作品制作と参考資料、使用ツールなどを振り返ってみたいと思う。

提出したキャラクターはこちら。

とにかく描きやすくて愛着がわく外見を目指した。おでこが出ている長髪のメガネが好きだったのでそのようにした。後々眼鏡に苦しむことになる。

まず、結局何作品投稿できたかというリザルトを書いておく。

大体二か月に一回は投稿できているが、6月はすごくピンチだった。企画の仕様上、交流相手のキャラクターの反応を問うような形で漫画を終わらせることができないため、シーンを切り取る形、話を完結させる形で漫画を作ることになる。一応、このくらいのページ数で何らかのオチを付けた漫画を描くことができた。
実際に作品ごとに振り返ってみる。

11月:プロローグ

交流期間開始前に、「自分のキャラクターがどのような人物であるか」を説明することができる「プロローグ」というものを描いた。これは、自分のキャラクターのみを描くことができ、ほかの参加者のキャラクターを借りることはできない。プロローグの提出は自由だが、とりあえず自分の頭で考えたキャラクターが一番描きやすいため、最初に描いておいたほうがいいだろうまた、自分もこのキャラクターをどう動かせるのだろう、ということを考えるため制作した。

参考資料:いまからまんがをつくります

「同人女の感情」で有名な真田つづるさんのハウツー本である。「同人女の~」では小説書きに関するものが主な題材となっているが、その際のキャラクターの修行の日々にも「真似してみようかな…」と思うものがあり(毎日800字書くとか)、気になって購入してみた。描きたいものをリストアップしてとにかく文字化する、頭の中にあるものを全部出して、それを整理する、セリフをまずすべて書き出す、というスタイルで、企画終了までその手法を参考にしている。

使用ツール:trello

「いまからまんがをつくります」では、描きたいもののリストアップをメモ帳、シーンの書き出し・入れ替えを付箋などのアナログツールで行っていたが、とにかく鉛筆と紙、というものがなかなか使いこなせず、鉛筆を握ると何も思いつかない…といった次第であったので、デジタルデバイスを使用することにした。
trelloはもともとタスク管理ツールで、ブロックにタスクを書いて、終了したタスクが書かれたブロックを移動させる、というものなのであるが、書くものをタスクから描きたいこと、シーンに置き換えて使用していた。

プロローグ作品のtrello使用状況はこんな感じ。

実際の作品

使用ツール:クリップスタジオEX

ペン入れを完全にあきらめた。リアルGペンなどを使っていたのだがまったく楽しくなく、出力されたペン入れ結果も、全く納得いくものではなかった。ので、いっそ潔く「線を引く」のではなく「塗る」漫画として作ることにした。ぐりぐり塗るのは楽しかったので、どうにか完成にこぎつけることができた。

塗りは大体これでやっていた。また、吹き出しペンをうまく使いこなすことができず、かといって楕円はなんだか味気がなかったので、曲線フキダシというツールを使っていたが、今見るともよもよしていて変だ。

11月:交流作品

使用ツール:クリップスタジオ

ペン入れのリベンジ…だが、細さ、太さがあまりわかっていない。まだ「絵」を描くことと「漫画」を描くことの違いがあまりわかっておらず、絵を描くノリ、すなわち、その後フルカラーで塗ることが前提の線画を出力していた。水彩感のあるグレーを入れることで情報量は出ているが、漫画らしさ、のようなものは欠けている。漫画用素材もあまり使いこなせておらず、そもそも使う発想がなく、1ページ2コマ目はトーン削り用エアブラシでせっせと行っている。

使用していたペンは多分これ。

12月はカラー絵なので割愛。

1月:交流作品

使用ツール:プロクリエイト(文字入れ以外)/クリップスタジオ(文字入れ)

2021年12月にアイパッドを手に入れ、アイパッドからやるネーム作成が非常にスムーズにできたため、そのまま文字入れ以外をプロクリエイトで完成させたもの。楽ではあったが、定規・コマ割り機能などがないので、よくよく見るとコマの形が変だったりする。これまでフキダシはコマの中に入れる、コマとコマの間にあまり余白を作ってはならない、と思っていたのだが、縦長漫画でかつ、吹き出しが完全にコマの外に置いてある漫画をどこかで見て、そんなことはないのかもしれないと思って吹き出しの位置が自由自在になっている。

ペン入れは「マーキュリー」、ベタは「6B鉛筆」である。カラーの絵はクリップスタジオである。

3月:交流作品

使用ツール:プロクリエイト(ネーム)/クリップスタジオ(それ以外)

クリップスタジオで漫画を描くとき、今まで製本用テンプレートを使用しており、そのまま製本できるよう、上下左右の余白がものすごく広くなっていた。カスタム作品設定で製本を前提としないサイズで描くことができるとわかり、以降クリップスタジオで描いても余白がものすごいことになっていない。
フキダシについて、「角フキダシ」の角丸設定を行うことで、楕円にかなり近いもののセリフが入れやすい形のフキダシができるということをツイッターで知り、この作品では人物のセリフはほぼそれで行っている(探したが元ツイートが見つけられなかった)。

参考資料:スランプでもなんとかなる漫画の描き方

この講座に非常に感銘を受けた。漫画は情報伝達メディアであり、すべてのコマは何らかの情報を提示するものである、という意識が芽生えた。いままで、すべてのコマに人あるいは背景を描くものであるとなんとなく思ってきたが、それは何かの情報を提示するためである、と理解した。これ以降、事前に提示してある情報以外に追加項目がないセリフはカットする、セリフ以外に出せる情報がないコマは思い切ってトーンベタ塗りにしてしまう、という対処法を身に着けることができた。

また、ここからクリップスタジオの漫画ツールを使用できるようになってきており、カケアミブラシでベタの中にほんわりをした明かりを作るなどということにチャレンジしている。

また、同時期に「#デジタル漫画描きが答えるテンプレ」というものをツイッターで見かけ、フォント・文字サイズ・コマ幅などの再検討を行った。

これも上記のハッシュタグで見つけたものである。長い漫画を同じテンションで描くのが難しかったため、前半はしげペン改、後半はこのペンで描いている。

6月:交流作品

使用ツール:プロクリエイト(ネーム)/クリップスタジオ

ものすごくぎりぎりだった。危うく参加不可になるところだった。ぎりぎりのため背景はほぼ真っ白。だが、内容的には密度のあるものだったように思う。これもペン入れを完全にあきらめ、ほぼすべてデッサン鉛筆で行った。

例のハッシュタグでこのブラシを知り、使うようになる。フキダシの描き方、いつまでもわからない。

8月:交流作品

交流というか、心象風景のような作品になった。万年筆をリアルで買ったこともあり、万年筆で書いた手紙のような漫画を描けないか?と思い制作した。

ペン入れはこれ

心象記述はこれ。

10月:交流作品

使用ツール:クリップスタジオ

今までネームはプロクリエイトで行っていたが、少しぎりぎりなのもあってセリフをすべて書き出す→クリスタのストーリーエディタ機能でページに置く→コマ割りをする→何を描きこむか決める→下書き→ペン入れ…という流れで制作を行った。七本目ということもあって、プロットからネームを組み立てるまでは比較的スムーズにできるようになった。

人物ペン入れ

物体ペン入れ

いままで一人の人とがっつり会話したり、自分の考えをまとめるだけの作品だったこともあり、交流色が薄かったため、なるべくいろんな人に、一年の感謝を込めて会話できるような構成を考えた。場面転換に課題があるが、今までで一番読みやすい漫画になったのではないかと思う。

まず、何回か欠席したものの、無事、完走できたことをお祝いしたい。企画に最後まで参加し続けることができたのはこれが初めてである。システムや世界観、交流のペースが性に合っていたのだと思う。
プロットを組み立て、終着点が見えた状態で話を描けるようになったのが素直にうれしい。途中までは漫画を描くことに対して「大変だ」という気持ちが完全に上位だったが、最後の月になって、慣れと習熟もあってか、「楽しい」と思える余裕が生まれた。

企画自体も、自分の漫画制作生活としても、とても楽しい一年となった。企画主催者様、参加者の皆様、見てくれた皆様、本当にありがとうございました。

漫画を描くということはできるようになったという自信が生まれたので、今後も漫画を描いていきたい!

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