11/27 Booknook vol.1に参加します&凪あすと新刊の話

好きなキャラの話でちょっと触れたのですが、凪あすの伊佐木くんという子がとても好きです。
視聴当時は「好き」なんてもんじゃなくて、執着しすぎて原作の展開に憤慨するレベルでした。具体的にどこがどう、ということは書きませんが、そういう、作品を手放しで賛美できることばかりではない、ということを知った作品です。

どうしたらいいんだろう、と思いました。

どうしたらいいのかわからないまま、パブサという概念が薄かったインターネットで強気にも彼のフルネームを丸々使って厄介オタクの嘆きを連投し、原作には全く絡みのないカップリングをしてみたり、クロスオーバーをさせてみたり、描き切ることのない漫画を描いてみたり…。いろいろなことをしていました。いろいろなことをしている気でいました。当時は、彼を思いやっているのは私だけで、私は彼を幸せにするために創作をしているような気でいました(端的に言うと、「穴を掘っている/amazarashi」で彼のMADを作るのが最終目標だった時期があったのです)。

時が経ち、私も作品との距離の取り方がわかるようになってきました。私の感情は何の正当性もなく、いや、そもそも、作品に対する感情は私だけのもので、正当性が問題になるものではないということを知りました。私は以前の私を黒歴史とはしませんが、自分がさもまっとうな批判をしている気になっていたことは、よくないことだなと思います。

私の感情に正当性はありません。しかし、その感情を持ってしまったことは確かなのです。彼に対して、執着に近い、どうにか、私の思うとおりになってほしい、という感情。イラスト本制作に際し何度も作品を視聴していますが、あのころのような燃え上がるような感情はありません。しかし、それでもずっと彼に対する感情はくすぶっていて、私は再び、どうしよう、と、うろうろすることになっていました。

うろうろし続けて、5年ほど経って、私はある作品に出合いました。

「遠近を抱えて part2/大浦信行」というものです。

これは本業の関係で見たもので、私は当該作品が出展されたあいちトリエンナーレをめぐる議論のことについては浅学です。また、それに関する議論もここではしません。この作品に関するインタビュー記事で見た、大浦さんが語るこの作品のコンセプトについて私が持った感情について語ります。

登場するのは従軍看護婦の女性で、出征する前の日に母親に別れを告げ、次は靖国で会いましょうと語る。これは実話をもとにしたもので、前作『靖国・地霊・天皇』の映像です。次の作品である映画『遠近を抱えた女』は既に海外の映画祭に出品しているのですが、同じ従軍看護婦の女性が主人公です。

 その女性に抱え込まれた「内なる天皇」、それを「昇華」させていくというのが、『遠近を抱えて』を燃やしていくシーンなんですね。そのシーンは1時間40分の映画の中ではごくわずかなのですが、今回の20分の動画にそこを含めたために、そこだけが取り出されて騒ぎになってしまいました。しかも、天皇制を批判するために燃やしたという全く誤った解釈がなされてしまったのですね。

 僕自身には天皇を批判するとか冒涜する意図は全くありません。僕自身の「内なる天皇」を従軍看護婦の女性に託して祈りを捧げるということなんです。

「内なる天皇」を燃やす、そして、実際の天皇と、この女性の中の、そして大浦信行の中の「内なる天皇」は異なる、ということがこの作品の重要な点なのだと思いました。

世界によって描かれた天皇と、自分の中の「内なる天皇」が乖離していく、いや、もともと乖離していたのかもしれない。そして、世界によって描かれた天皇を受け入れなければならないときに、自身の中の「内なる天皇」はどこへ行くのだろう…。

私はこれを、自分と彼の話に、自分と凪あすの話に感じました。
私も早く、早く自分の中の彼を昇華させないといけない。どこへも行けなくなった私の中の彼を、早くどこかへ行かせてやりたい。

そう感じて、この本の制作を開始しました。しかし、ゆっくり描いているうちに一年半が経ってしまいました。ある程度枚数がたまってきたときに、「これをどうやって終わらせよう」という問題が浮上しました。締め切りを作らなければ、終着点が決まらないだろうということに、少し考えて気が付きました。しかし、自分で決めていつでも動かせる締め切りは2回ほど破ってしまいました。何かイベントに出ることにしよう、しかし、もう来年で10周年を迎えるオリジナルアニメのジャンルでイベントに出てもしょうがないのではないか…。

そこで出会ったのが、Booknookというイベントです。

ジャンルはおろか、頒布形態も問いません。
頒布物なしでも構いません。
未完成品の展示でもOKです。
ピクスクの利用規約内でしたら、同人誌、グッズ、ハンドメイドアイテム、評論、技術書、素材、音源、告知等、自分の創作&PRに是非ご活用下さい。(イベントページより)

このような懐の深いイベントだったら、参加できるかもしれない。時期もぎりぎり、どうにかなる。本当にこのイベントに出会えてよかったな、と思います。

このイラスト本で描くのは、厳密には彼らではありません。私の中の、アニメで描かれた彼らとは乖離してしまっている、「内なる彼ら」です。そのような彼らを、見届けていただければ幸いです。

GYAOで現在配信中。2~5話は有料になってしまったみたいですが、1話は見られます。彼のことを、少しでも知っていただければ幸いです。

もし興味を持っていただけたら、アンケートご協力お願いします。

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